不登校について一考
よく学校の問題として、いじめや対人関係のトラブルによる不登校がマスコミに取り上げられますが、実は不登校の子どもたちの中には「学習が辛い」っていう子が意外と多いんです。
今まで私が見てきた学校では大体一番多い理由だと思います。また表面上は違う理由でも、根っこには学習の問題があることも珍しくありません。
授業がさっぱり分からないのに一日中教室の席に座っているのって相当苦痛ですよね。しかも気配を消しているにも関わらず、授業中に突然指されでもしたら、それこそ悶絶ものです。
以前中学生の女子生徒からこういう相談がありました。
ある先生が授業の途中で小テストを行い、答案を隣の人と交換してお互いに丸付けをさせるというもの。その子にとっては拷問でした。仲の良くない男子に毎回間違いだらけの答案を見られる。絶対バカだと思われている。影で言いふらされている・・・結局学校に行きたくなくなりました。
<ここで一考>
ある意味『ぐれる』って「おれ勉強やらないからできないんだぜ」と宣言をするという自己擁護の精神安定剤ですよね。不良の少年少女がたくさんいた時代には、それによって助けられた人って多いんだろうなぁと思います。実際そういう道を辿ってきた中年の患者さんとよく出会います。
ところが、現在はまじめに学習に向き合っているのにできない子が多すぎます。まじめって良いことなのに、まじめなために単なる失敗体験になってしまいます。そりゃ不登校にもなりますし、病んでしまいますよね。
学校はそろそろシステムを考え直して欲しい。出来る子も出来ない子もいっしょくたにして学習を行なうには逃げ場がなさ過ぎます。
しかしテストの点数が悪いだけで誰でも支援級に入れていたら、すぐに溢れかえってパンクしてしまいます。支援級と普通級の間のクラス作るとか、ある程度学力でクラス分けるとか何か対策を取らないと、どこの中学でも問題になっていますよ。目を向けていればですが・・。
勉強なんかしなくても何とか仕事があって生きていけたあの時代とは違うんです。逆に言うと、勉強をすればより良い生活が待っていたあの時代とも違うんです。
なぜ中学に行くと急に不登校が増えるのでしょう。もう明らかではないですか??
まず大人が環境を変えてあげましょうよ。そして自身の凝り固まった考えを変えましょうよ。
そうすれば子どもたちも変わると思います。
最近『農業に興味がある』という子どもたちとよく出会います。それが現在の学習システムと社会構造を反映しているのかなと思い、ぐだぐだと書いてみました。第一次産業の復興と職人の復権が不登校と自殺者を減らすのではないかと、ふと考える元土建屋の心理士でした。
ではでは・・。
いじめと不登校 河合隼雄
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