泣きっ面に「蜂」を「ハンカチ」へ/平成25年6月号

カテゴリー │きそや通信(新聞)

 ※毎月生徒に配っているきそや通信(書面)のコラムから反響のあったバックナンバーを紹介いたします。


 『泣きっ面に「蜂」を「ハンカチ」へ』

 浜松まつりも終わり、早くも衣替えの季節になりました。新学期がはじまって二カ月。皆さん学校生活は順調ですか?
 生活をスムーズに送るには、大きなストレスの掛るハードルを事前に予想し、個人に合った方法で乗り越えていくことが重要です。そしてそのハードルは一人一人違います。それはなぜかというと「個性と特徴」があるからです。

 しかし現実では、なかなか個別の配慮がなされず、逆に個人個人の「個性や特徴」のせいで怒られてしまうことがあります。
 例えば忘れ物をしてばかりいて何度も叱られている子。もしかしたら生まれつき忘れ物をしやすい特徴があるかもしれません。具体的な対策を一緒に考えてあげなければ良化はなかなかしない上に、その後も怒られ続けるでしょう。また人ごみに入ると息がつまりそうになる子が、教室で落ち着かずにソワソワしていても、その理由に大人が気付かなければやはり怒られてしまいます。また人の気持ちが分かりにくい子が、悪気無くクラスメイトとトラブルを起こしても「あなたが悪い」と怒られてしまうでしょう。

 毎日のように怒られ続ければ、誰でも自己肯定感は下がり、自分が嫌いになります。そして次第に心が病んでいきます。医療の世界では個人個人の特徴のために、更に生き辛くなってしまうことを「二次障害」と呼んでいます。

 忘れ物なんて誰だってしたくはありません。しかし、いくら注意をしても忘れてしまう子もいるのです。何度も何度も叱られるのに変わらない・・・正に「泣きっ面に蜂」ですね。しかし二次障害は、その子に合った適切な指導や対応をしていれば簡単には起こらない障害です。泣きっ面には「蜂」ではなく「ハンカチ」を出してあげましょう。一緒に対策を考えて寄り添ってあげることこそ、子どもたちの将来に繋がる支援です。
(平成25年6月号掲載)